2020年1月8日に、日産自動車の元会長カルロスゴーン氏がレバノンで記者会見を開きました。
この記者会見でのゴーン氏の発言に世界中が注目していましたが、海外メディアはどのように報道したのでしょうか?
今回は、ゴーン氏の発言内容や記者会見への海外の反応についてまとめました。
ゴーン氏の記者会見での発言内容
カルロスゴーン氏は逃亡先のレバノンの首都ベイルートで記者会見を開きました。
記者会見の参加が認められたのは130名程度のメディア関係者。
12か国60社のうち日本のメディアはテレビ東京、朝日新聞、小学館の3社だけでした。
ゴーン氏の発言内容は以下のとおりです。
日本からの逃亡について
・どのように日本を抜け出したかを語るつもりはない。
・(日本の)基本的な人権を侵害する裁判のシステムを明らかにする。
・公平な裁判が受けられないので(逃亡の)リスクを取った。
・逃亡先をレバノンにしたのは国籍があり、物流の観点から。
逃亡の理由は政治的迫害から逃れるため
・日本は起訴からの有罪率が99.4%という制度。
・私は日本政府で関与している人の名前を出すこともできる。だが、レバノン政府に迷惑をかけたくないのでこの場では沈黙を守る。
・日本政府のトップレベル(安倍首相)は関与してないと思う。
・逮捕は検察と日産が事前に準備していた。西川(広人・前最高経営責任者=CEO)氏やハリ・ナダ(専務執行役員)氏など多くの日産幹部が私を追い出すのに関わっていた。
容疑は否定
・支払ったインセンティブを比較すると完全に普通の水準だ。私の銀行口座は(逮捕後)すべて移設された。だから疑わしい支払いがあれば公になるはずだ。
・私の権利を守るためにルノーや日産とは裁判で戦う。
現在の日産の企業価値について
・日産の市場価値は私が去ってから100億ドル以上下がった。ルノーの価値も下がっている。
・現在は成長はなく利益も落ち込んでおり、戦略もみえない。イノベーションも出ていない。決定的なチャンスを逃した。
・私は冷酷で強欲だと中傷された。私は日産を愛していたし財務危機を一緒に乗り越えた。
・どうして私が会社に良いことをしたのに私を悪のようにいうのか。信じられない。
ゴーン氏のこの2時間半の会見にはキャロル夫人も出席していました。
他には3人の弁護士と共にフランスのコンサルタント会社Image7の担当者が同行していたそうです。
記者たちをゴーン氏と接近させる会見スタイルもコンサルタントによって提案されたものかもしれませんね。
それにしても真剣な記者会見の場でキャロル夫人がにこやかなのが個人的には気になります。
このゴーン氏の記者会見について海外ではどのように報道されているのでしょうか?
ゴーン記者会見への海外の反応は?海外の報道まとめ!
ゴーン氏の記者会見での発言について海外メディアの反応をご紹介していきます。
【CNN(アメリカ)】
最大の関心事はゴーン被告が日本からどう逃亡したかだったにもかかわらず、会見で一切、触れられなかった。
(引用:日本経済新聞)
【CNBC(アメリカ)】
ゴーン被告の書類を示しての説明は、世論を味方に付けるには効果的な戦略だった。
(引用:日本経済新聞)
【ブルームバーグ(アメリカ)】
『カルロス・ゴーン・サーカス』が幕を開けた。
ゴーンは怒りや不満、嫌みを口にし、ノンストップでしゃべり続けた。ゴーン被告は「自己弁護」や「長々とした批判演説」を繰り返した。
(引用:日本経済新聞)
【ニューヨークタイムズ(アメリカ)】
記者会見で開示された書類は文字が小さく、読めなかった。
レバノンの首都ベイルートで開かれた記者会見で、ゴーン氏は不正な司法制度と不誠実な部下による企業クーデターの犠牲者として自分自身を主張。
(引用:日本経済新聞)
【Financial Times(イギリス)】
彼は12月下旬の東京での保釈からレバノンへの劇的な脱出の詳細を提供しなかった。この飛行は彼を国際逃亡者にした。これは今後の彼の動きを厳しく制限するかもしれない。
(引用:日本経済新聞)
Telegraph Business(イギリス)
カルロスゴーンは日本からの脱出以来の最初のコメントで、日産の幹部が彼に対して陰謀を企てたと主張している。
(引用:日本経済新聞)
Les Echos(フランス)
傷を負った虎の弁舌
礼儀正しく、冷たく、逮捕の屈辱でたまった怒りを2時間半にわたり解き放った。
【LE JDD(フランス)】
全世界から130名の報道記者が招待された。ただし日本の記者はたったの4名だった。
(引用:日本経済新聞)
【BFMTV(フランス)】
ゴーン被告は妻の言葉に触れる際、彼女にじっと目を向けていた。その時以外は『決然としたカルロス』だった
(引用:日本経済新聞)
アルジャジーラ(中東)
ゴーンが会見冒頭、「レバノン人であることを誇りに思う」とアラビア語で話すと拍手喝采が起きた。
(引用:Business Insider)
世界中のメディアがカルロスゴーン氏の記者会見に注目していたことがわかります。
アメリカやイギリスの報道はゴーン氏の自己弁護という見方が強かったのに対して、フランスや中東の報道はゴーン氏に寄り添うような内容が多かった印象があります。
ただ、みんなの関心はやはり逃亡の方法や経路だったようですね!
それについては一切語れなかったことから、「期待外れだった」という反応も多かった感じがします。
また日本のメディアの締め出しや冷遇も避難の対象となっていたようですね。
個人的には、ゴーン氏の人の心をひきつけるプレゼン力は素晴らしいなと感じましたが、やっぱり逃亡経路は知りたかったです!
日産幹部とのいざこざや日本政府の関与については今後裁判で詳しく語られそうですね。
今後もカルロスゴーン氏の動向は引き続き注目されそうですね。