10月31日に、世界遺産に登録されている、沖縄の首里城の正殿、北殿、南殿などが、火災でほぼ全焼してしまうという出来事がありました。
首里城の世界遺産の登録はどうなるのか、抹消されてしまうのか?と、心配する声も上がっています。
また、今後長期間にわたって、首里城は閉鎖されることが予想されるため、観光客が激減することも心配されます。
今回は、首里城の火災で世界遺産の登録はどうなるのか?気になる観光への影響についても、調べてみました。
首里城が火災で全焼
(出典:時事ドットコム)
首里城の火災報道については、下記のとおりです。
31日午前2時40分ごろ、那覇市の世界遺産、首里城跡に復元された首里城から煙が上がっていると119番があった。消防や沖縄県警によると、首里城正面の中央部分にある正殿から出火し、激しく炎上。北殿、南殿などに延焼し、建物と門の計7棟を焼いて約11時間後に鎮火した。けが人はいなかった。
正殿の内部から出火したとみられていて、木造の正殿はほぼ焼け落ちてしまったようです。
原因は今のところ不明ですが、すでに現場での実況見分も始まっています。
首里城全焼で世界遺産の登録はどうなる?
首里城は、2000年12月に世界遺産として登録されました。
その首里城のシンボル的な正殿が全焼してしまったため、世界遺産の登録が取り消しになるのでは?と心配になった人も多いのではないでしょうか?
ですが、安心してください^^
実は、「首里城の建物」が世界遺産に登録されているわけではないのです。
どういうことかというと…
2000年に登録された、沖縄の世界遺産は、正式には「琉球王国のグスク及び関連遺産群」と言って、周辺の城跡や王家の墓など9件がまとめて、登録されているもの。
《琉球王国のグスク及び関連遺産群》
今帰仁城跡(なきじんじょうあと)
座喜味城跡(ざきみじょうあと)
勝連城跡(かつれんじょうあと)
中城城跡(なかぐすくじょうあと)
首里城跡(しゅりじょうあと)
園比屋武御嶽石門(そのひゃんうたきいしもん)
玉陵(たまうどぅん)
識名園(しきなえん)
斎場御嶽(せいふぁうたき)
これらの城跡は、沖縄県のあちこちに散らばって存在しています。
そして、世界遺産は、首里城地下の「遺構」、首里城跡のことであって、首里城の建物そのものは、実質的には世界遺産ではない。ということですね。
首里城の正殿などが全焼してしまったことや、この後の復元などの費用を考えるとかなり大きな損害になりますが、世界遺産の登録については、特にどうなることもなく、抹消も避けられそうです。
また、ユネスコ側も、今回の首里城の火災については、
「首里城跡はほかの関連遺産とともに世界遺産に登録されており、その1つにすぎない。首里城が火災にあったことで、そのほかの遺産の価値は失われていない」
と述べていて、世界遺産の登録が、抹消される可能性はなさそうです。
また、復元・復興については、ユネスコの担当者は、「世界的なネットワークを駆使して支援にあたりたい」というコメントも出しており、再建に向けた支援が何かしらあるかもしれませんね。
首里城全焼で観光への影響は?
首里城の世界遺産登録の取り消しは免れそうですが、沖縄のシンボルともいえる、首里城が焼失してしまった今後は、観光への影響は大きくなりそうです。
2017年度に首里城を訪れた観光客は、285万人。
首里城の入場料は、大人ひとり680円でしたので、単純に入場料だけでも、年間19億円ほどの利益になっていたはず。それが、今後はなくなってしまうわけです。
首里城は閉鎖されても維持費は発生するので、観光客を一切受け付けなくなると、首里城の管理側も、大きな痛手になります。
また、首里城周辺のお土産もの店や、タクシーなども、今後大きな収入減になることが予想されますね。
首里城は、過去の琉球王朝の歴史的背景も伝えてくれる、大事な宝です。
それが、一夜にしてあっという間に焼失してしまったのは、とても残念なこと。
寄付やクラウドファンディングでの修復資金集め、また政府からの資金などで、早く首里城の復元が進むことを願っています。